Geoffrey Bawa

建築家ジェフリー・バワ

スリランカ出身の建築家ジェフリー・バワ(1919-2003)は、20世紀の建築界において、アジア人建築家の中でも最も影響力のある人物の一人です。特に、トロピカル・モダニズムと呼ばれる、熱帯地域特有の伝統的な設計と近代的なデザインを混ぜ合わせた建築様式の旗手とされ、アマンリゾートのホテルデザインを手掛けるオーストラリア人建築家ケリー・ヒルをはじめ、アジアで活躍する多くの建築家に今も影響を及ぼしています。

ジェフリー・バワ略歴

1919年7月23日コロンボ生まれ。イギリス人とムスリムの間に生まれたバーガー(混血)の法律家の父親とドイツ、スコットランド、シンハラ人の血を引くバーガーの母親を持つエリート一家の次男。

幼少期から旅好きの母親に連れられヨーロッパや中国他アジア諸国を旅する。父親と同じ法律家を志し、1938年19歳で英国のケンブリッジ大学に留学。1946年1月、27歳でコロンボに戻り法律家として働くものの、11月セイロンに愛想を尽かし、ペナン、インドネシア、フィリピンを経由して米国、ヨーロッパを周遊。

1948年にイタリアに気に入ったヴィラを見つけ身を落ち着けようとするも、資金面を考慮してコロンボに戻る事を決意。帰国後、イタリア風の庭園に英国風のカントリーハウスを建てようと、水辺の土地を探し始め、南西海岸に位置するベントータの土地(ルヌガンガ)を購入する。

ルヌガンガに自分が思い描いた庭園と家を建てるため、また他の人々のために家や庭園をデザインする夢を描き建築家になることを志す。

コロンボの都市計画に関わっていた英国の建築家Herbert Henry Reidのアシスタントを経て、1952年秋にケンブリッジへ戻り家庭教師を付けて土木工学と構造設計を学び、1954年5年生のロンドンの建築学校Architectural Association Schoolの3年次へ編入。1957年、38歳で建築家としての資格を得る。


ジェフリー・バワ所縁の場所

ルヌガンガ庭園
Lunuganga, Bentota
見学時間:9:30/14:00  ※事前予約不要
ランチ(宿泊者のみ可)※2019年9月3日更新
https://www.lunuganga.com/
バワの築いた楽園とも呼ばれるルヌガンガ。バワは晩年までコロンボの邸宅とルヌガンガとを行き来し、1947年からバワが亡くなる1998年まで改築と実験的な試みを続けました。1時間半程度の庭園ツアーにご参加可能です。

No.11/ナンバーイレブン
No.11, 33rd Lane, Off Bagatelle Road, Colombo 3
見学時間:10:00/14:00/15:30 ※要事前予約
日曜は10:00のみ、祝日休業 
https://geoffreybawa.com/number-11
バワの元邸宅は、事前に予約をすれば1時間ほどの見学ツアーに参加することができます。バワトラストのスタッフが同行し、バワの生涯や建築について学ぶことができます。施設内ではバワに関する書籍などの販売もされています。宿泊も可能です。

デ・サラム・ハウス
61/1, Ward Place, Colombo 7
見学時間:11:00のみ ※要事前予約
https://geoffreybawa.com/de-saram-house
1986年にバワが改装を請け負った邸宅で、元々は2軒の家だったところを、1軒の家になるようにバワがデザインしました。4部屋客室もあり宿泊可能。見学ツアーも実施されています。

ザ・ギャラリーカフェ
2, Alfred House Road, Colombo 3
営業:10:00~22:30
https://www.paradiseroad.lk/content/7-The-Gallery-Cafe
バワの元オフィスを改装したレストランカフェ。西洋料理中心ですが、スパイスやスリランカのフルーツなどを面白く用いておりここでしか味わえないお料理ばかり。夕方18:00以降はファインダイニングといった趣です。

シーママラカヤ寺院
61, Sri Jinarathana Road, Colombo2
コロンボ市内のベイラ湖に浮かぶ仏教寺院。キャンディー王朝時代のスリランカの伝統的建築デザインを用いた作りで、リラックスできる場所になっています。

国会議事堂
Parliament, Sri Jayawardanapura Kotte
見学時間:09:30~15:30(要事前予約)
※国会開会日は09:30~終会まで
https://www.parliament.lk/
1977年大統領に付いたJ.R.ジャヤワルダナの命を受け建築された新たな国会議事堂。バワはジャヤワルダナとも交流がありました。湖に浮いたように見えるデザインで、外からもきれいに見ることができます。事前に連絡をすれば内部見学も。

エナ・デ・シルバのマータレーヘリテージセンター
Matale Heritage Center, Alvihara, Matale
https://shop.aluwihareheritagecentre.org/
バワ所縁のアーティストでホテルの装飾品などの政策を長きに渡り手がけた、エナ・デ・シルバの工房。彼女がデザインしたバティックや布製品などを生産しています。10名以上の団体であれば、工房にてランチの手配も可能です。

バーバラ・サンソーニのベアフット
704. Galle Road, Colombo 3
営業:10:00~19:00 
https://barefootceylon.com/
バワの遠縁の従妹で友人、アーティストでもあるバーバラが設立したテキスタイルのお店。ビビッドな色の組み合わせに長け、バワのプロジェクトにファブリックを提供し、コーディネートも手掛けました。カフェとギャラリー、書店も併設。建築書、アート関連書籍多数でおすすめです。

ラキ・セナナヤケのディヤブブラ
Diyabubula Jugnle & Art Hideaway, Kalundewa Road, Dambulla
https://www.diyabubula.com/
ヘリタンスカンダラマの梟、ジェットウィングライトハウスのエントランス、ルヌガンガ庭園の壁画…バワの建築を飾る多くのアート作品を手掛けるスリランカ人芸術家ラキの邸宅。現在はブティックホテルとして運営されているので、訪問されたい方は要確認。

泊まって楽しむバワ建築

ルヌガンガ(1948-1998)
https://www.lunuganga.com/
バワの築いた楽園とも呼ばれるルヌガンガ。バワは晩年までコロンボの邸宅とルヌガンガとを行き来し、1947年からバワが亡くなる1998年まで改築と実験的な試みを続けました。2019年には、コロンボにあったエナ・デ・シルバ・ハウス(1960年)が移築され、現在はこちらにも宿泊することができます。

ジェットウィングラグーン(1965年)
www.jetwinghotels.com/jetwinglagoon/
旧ブルーラグーンホテル。当時セイロンと呼ばれていたスリランカで、ツーリスト向けに伝統的なレストハウスをイメージして建てられました。設備が小さすぎたことから経営はうまく行かずすぐに閉鎖されますが、近年リノベーションされ5つ星ホテルとしてオープンしました。

アヴァニベントータ(1967年)
www.minorhotels.com/en/avani/bentota/
旧セレンディブホテル
ベントータビーチリゾート開発の一環で、ベントータビーチホテルよりもバジェット旅行者向けにデザインされたホテルです。現在はデラックスホテルとして運営されています。バワのホテルの中でも初期の作品の一つです。

ヘリタンスアーユルヴェーダマハゲダラ(1976年)
www.heritancehotels.com/ayurvedamahagedara/
旧ネプチューンホテル
バワと共に活動したスリランカ人アーティスト、ラキ・セナナヤキの彫刻や壁画が美しいアーティスティックなホテルです。現在はアーユルヴェーダ専門のリゾートになっています。

クラブヴィラ(1978年)
www.clubvillabentota.com
旧ハミードビーチヴィラ
セレンディブホテルの最初のマネージャーであったS.M.A.ハミードは、モホティ―ワラウワの購入をバワに打診されるも、その南の土地を購入し自らのホテルを建てようと、その建設をバワに依頼しました。

パラダイスロードヴィラベントータ(1978年)
www.paradiseroadhotels.com/villabentota/
旧ヴィラモホティ
1977年から1988年にかけてバワは一般家庭などの小規模プロジェクトに専念します。19世紀に建てられたエレガントなモホティ―ワラウワに目を付けたバワ。買い手が見つからなかったため自らこの家を購入し、ヴィラとした改装しました。

ヘリタンスアフンガッラ(1978年)
www.heritancehotels.com/ahungalla/
旧トライトンホテル
“全てが同一平面上にある。もし世界が平であったら、水平線の先にアフリカ大陸が見えるだろう。”1985年にバワが述べた通り、入口からインフィニティ―プール、そしてインド洋へと続くデザインが美しいホテルです。

ジェットウィングビーチ(1984年)
www.jetwinghotels.com/jetwingbeach/
当初は、ロイヤル・オーシャニックという名称で親しまれていた。その後、2004年に、ジェットウィング・ラグーンの改築を担当した弟子のビノッド・ジャヤシンゲにより5つ星ホテルとしてアップグレードされました。バワのオリジナルの設計が残っているのは、ホテルのエントランス部分の階段エリア(当時のままの色鮮やかな天井画が残っている)、地上階にあるメイン・レストラン横に引き込んだ植栽がほどこされたプール、そして客室内の高い天井とバスタブとシャワーブースが分かれている部分です。

ジェットウィングブルー(1984年)
www.jetwinghotels.com/jetwingblue/
旧ブル―オーシャニックホテル
バワの弟子が改装を行ったため、バワ建築ではないもののバワっぽさを随所に感じることが出来ます。全室テラス付きで、敷地内どこにいても海を感じることが出来ます。

クラフトン・ハウス(1985年)
https://claughtonhouse.com/
南海岸のディックウェラにあるホテル。
英国の不動産業者だったリチャード・フィッツハーバート・ブロックホールズが1980年代に別荘の設計をバワに依頼、1985年に完成した家屋が基になっています。
高台には「ヨガ・シャラ」があり、雄大なインド洋を眺めながら心身共にリフレッシュ出来ますし、BBQコーナー付きのプール、ライスカレーの料理教室等、敷地内で出来るアクティビティもたくさんありますので、連泊でお泊りになるのがオススメです。

ヘリタンスカンダラマ(1991年)
www.heritancehotels.com/kandalama/
バワホテルでも特に人気の高いホテル。5階建の巨大建造物が外からではほとんどわからないほど、森と建築が見事に融合したバワの最高傑作とも名高いホテルです。バンダラナイケ国際空港より車で約5時間の距離にあり、近くにはダンブッラ石窟寺院、シーギリヤ・ロック、ミンネリヤ国立公園があります。

アナンタラカルタラ(1995年未完)
kalutara.anantara.com
旧シンバッドガーデンホテル
シンバッドホテルのレセプションエリアのデザインと合わせて、バワは南に新しく建築予定のホテル建設も任されます。シンバッドホテルと同様にこちらも未完のまま放置されますが、2016年に新たにオープンしました。バワの息吹をそのままに、彼と共に活躍したアーティスト、エナ・デ・シルバやバーバラ・サンソニのアートワークが散りばめられています。

ジェットウィングライトハウス(1995年)
www.jetwinghotels.com/jetwinglighthouse/
旧ライトハウスホテル
世界遺産ゴール要塞都市を望むホテル。バワの晩年の作品で、ゴールの歴史を示すように中東ムーアの宮殿、遠洋船、荘園主の館、コロニアルヴィラを思わせる土地に根差したデザイン。エントランスの階段に築かれたラキ・セナナヤキによる彫刻、植民者のオランダ人とシンハラ人による戦いを描いた「ランデニヤの戦い」も必見です。

アヴァニカルタラ(1996年)
hwww.minorhotels.com/en/avani/kalutara
旧カニランカ/シンバッドホテル
客室はスイス人家具メーカーのリコ・タラヴェッラによるデザインですが、バワはメインレセプションエリアのデザインを任されました。1996年1月にコロンボで大規模なテロ事件が発生したことから、海外からの観光客を望めず70%建設が進んでいながら未完のホテルとして長らく放置されていました。

ブルーウォーター(1996年)
www.bluewatersrilanka.com
ワッドゥワにあるバワ最後の建築作品の一つ。バワ建築のリゾートの中では比較的リーズナブルに泊まること可能♪お部屋からはココナッツ林と海が見え、夕陽が美しいビーチもすぐ傍です。

ザ・ラストハウス(1997年)
https://www.manorhouseconcepts.com/our-spaces/last-house/
旧ジェイコブソン・ハウス
※準備中

ディヤブブラ
www.diyabubula.com
ヘリタンスカンダラマの梟、ジェットウィングライトハウスのエントランス、ルヌガンガ庭園の壁画…バワの建築を飾る多くのアート作品を手掛けるスリランカ人芸術家ラキ・セナナヤケの邸宅であり楽園ディヤブブラが3部屋のみのスモールラグジュアリーロッジになりました。アート&クラフト、インテリア好きにはたまらないリゾートです。

レッドクリフ・ミリッサ
ホエール・ウォッチングで有名な南部ビーチ「ミリッサ」に一棟貸しヴィラとしてOPENしました。
スリランカ元大統領であるJ.R.ジャヤワルダナの孫であり、起業家でもあるプラディープ・ジャヤワルダナ氏が友人である建築家ジェフリー・バワに設計を依頼して作られた別荘(*1998年に完成)が基になっています。

No.11(ナンバーイレブン)
https://geoffreybawa.com/number-11
スリランカを代表する建築家ジェフリー・バワのコロンボの住居兼オフィスである、No.11。見学ツアーも開催されていますが、実は一度に一組限定で宿泊も可能です。